「その発言、ちょっとboldだね」と海外の友人に言われて、ドキッとしたことはありませんか?
褒められているのか、それとも怒られているのか、とっさに判断するのは難しいですよね。
実は英語の「bold」には、「勇敢な」という良い意味と、「図々しい」という悪い意味の両方があります。
この記事では、文脈によってガラリと変わる「bold」のリアルな意味や使い方をわかりやすく解説します。
スラング英語「bold」が持つ核心的な意味
- ネガティブな意味:図々しい
- ポジティブな意味:大胆不敵
- アイルランド特有:いたずら
学校では「太字」や「目立つ」という意味で習うことが多いですが、日常会話では人の性格や行動を表すときによく使われます。
相手の表情や話し方ひとつで、褒め言葉にも悪口にもなる不思議な言葉です。まずは大きくわけて3つの核心的な意味をおさえておきましょう。
ネガティブなニュアンス:図々しい・生意気な・無礼な
誰かが空気を読まずに行動したり、礼儀を欠いた態度をとったりしたとき、「bold」はネガティブな意味で使われます。
たとえば、初対面なのに失礼な質問をしてくる人に対して、「あいつ、ちょっと図々しいよね」といったニュアンスです。
「生意気だ」「厚かましい」と感じたときに、あきれ顔で使われることが多いでしょう。日本語の「面の皮が厚い」に近い感覚かもしれません。
ポジティブなニュアンス:大胆不敵な・度胸がある
一方で、リスクを恐れずに新しいことに挑戦する人に対しては、最高の褒め言葉になります。
周りが尻込みするような場面で堂々と意見を言ったり、行動に移したりする姿は「bold」そのものです。
「肝が据わっている」「度胸満点」といった意味合いで、リーダーシップがある人を称えるときにも使われますよ。
アイルランド英語特有の「bold」の意味(naughty)
もし相手がアイルランド人なら、少し違った意味になるので注意が必要です。
アイルランドでは、子供がいたずらをしたり言うことを聞かなかったりするときに「bold」を使います。
一般的な英語の「naughty(いたずら好きな)」と同じ意味ですね。「悪い子だね」と軽くたしなめるような、親しみを含んだニュアンスで使われることもあります。
シチュエーション別「bold」の正しい使い方と例文
- 親が子供を叱る場面
- 友人の行動へのツッコミ
- 恋愛での積極的な行動
- 皮肉としてのフレーズ
意味がわかったところで、実際にネイティブがどのような場面で使っているのかを見ていきましょう。
状況ごとの使い分けを知ることで、会話のなかで焦らずに正しい意味をキャッチできるようになります。
親が子供を叱る場面での使用例
親が子供に対して使うときは、「行儀が悪いわよ」や「生意気な口をきかないの」といったしつけの意味合いが強くなります。
たとえば、子供がわがままを言ったときに、お母さんが次のように注意することがあります。
- Don't be bold!
これは「いい子にしなさい」や「生意気言わないで」という意味です。アイルランドだけでなく、ほかの地域でも文脈によっては似たような叱り方として使われます。
友人の驚くべき行動に対するツッコミとしての使用例
友達が誰も予想しなかったような大胆な行動をとったとき、驚きと少しの尊敬を込めて使います。
たとえば、みんなが恐れている厳しい先生に、堂々と意見した友人がいたとしましょう。そんなときにはこう言います。
- That was a bold move.
「思い切ったことしたね!」「やるじゃん!」といったポジティブな驚きを表現するのにぴったりのフレーズです。
恋愛やアプローチが積極的すぎる相手への使用例
恋愛の場面では、相手のアプローチがストレートすぎたり、強引すぎたりするときに使われることがあります。
たとえば、出会ってすぐにデートに誘われたり、大勢の前で告白されたりしたようなケースです。
- He is very bold.
これは「彼、すごく積極的だね」という意味ですが、言い方によっては「ちょっと強引すぎて引くわ」というニュアンスを含むこともあります。
皮肉(Sarcasm)として使う場合のフレーズ
英語圏では、あえて反対の意味で言葉を使う「皮肉(サーカズム)」が日常的によく使われます。
明らかに失敗するような無謀な計画を立てている人に対して、「それは大胆だね(どうせ無理だけど)」という意味で使うのです。
「It's a bold strategy.(大胆な作戦だね)」と笑顔で言われても、目が笑っていなければ「バカなことしてるな」と思われているかもしれません。
SNSやネットスラングとしての「bold」のトレンド
- TikTokのフィルター
- SNSでのコメント返し
- 強調表現としての太字
最近では、SNSやインターネット上のやり取りでも「bold」という言葉をよく見かけるようになりました。
若者の間では、従来の意味から少し派生した新しい使い方も生まれています。
TikTokで話題の「Bold Glamour」フィルターとは
TikTokには「Bold Glamour」という名前の、顔立ちをくっきりとさせる人気フィルターがあります。
このフィルターを使うと、自信に満ち溢れた「強い顔」になれることから、世界中で大きなトレンドになりました。
ここでの「bold」は、メイクが濃くはっきりしていることや、自信満々な様子を表しています。「盛れる」という意味合いに近いかもしれません。
チャットやSNSコメントでの「Bold move」の使われ方
SNSの投稿やコメント欄でも、誰かの投稿に対して「Bold move」と反応することがあります。
たとえば、議論を呼ぶような際どい意見を投稿した人や、奇抜なファッションを披露した人に対して使われます。
「よく言った!」「攻めてるね!」といった、相手の度胸を評価するカジュアルなネットスラングとして定着しています。
フォントの「太字」が転じて使われる強調表現
もともとの「太字」という意味から転じて、テキストメッセージで自分の意見を強く主張することを指す場合もあります。
文字をあえて太字にしたり大文字にしたりして送ると、「主張が激しいね」という意味で「You are bold today.」と返されるかもしれません。
自分の存在感をアピールしすぎている人に対して、少し揶揄するような意味で使われることもあります。
「bold」と似た意味を持つ関連スラング・類語
- Cheeky:小生意気
- Audacious:不敵
- Brazen:厚顔無恥
「bold」のニュアンスをより深く理解するために、似ているけれど少し違う類語も知っておきましょう。
これらの単語を使い分けることで、相手の性格や行動をより正確に表現できるようになります。
Cheeky(ちゃっかりした・小生意気な)
「cheeky」は、生意気だけれどどこか愛嬌があって憎めない、という意味で使われるイギリス英語です。
いたずらっ子や、冗談で軽く失礼なことを言う友人に対して「You are cheeky!」と笑いながら言います。
「bold」よりも軽いニュアンスで、親しい間柄でのジョークとして使われることが多いのが特徴です。
Audacious(不敵な・厚かましい)
「audacious」は、「bold」よりもさらに大胆で、リスクをまったく恐れない様子を表します。
良い意味では「常識にとらわれない」となりますが、悪い意味では「礼儀知らずにもほどがある」となります。
驚くほど大胆な計画や、信じられないような要求をしてくる人に対して使われる、少し硬い表現です。
Brazen(厚顔無恥な)
「brazen」は、悪いことをしているのにまったく反省していない、堂々としている様子を指すネガティブな言葉です。
「図太い」「恥知らず」といった強い批判のニュアンスが含まれています。
嘘がバレているのに平気な顔をしている人などは、「bold」よりも「brazen」と表現するほうがぴったりでしょう。
日本人が絶対注意すべき「bold」と「bald」の違い
- 発音の違い
- スペルミスの危険性
日本人が一番気をつけなければならないのが、髪の毛がないことを表す「bald(ハゲ)」との混同です。
発音やスペルを少し間違えるだけで、褒めたつもりが相手を深く傷つけてしまう大惨事になりかねません。
「bald(ハゲ)」と間違われないための発音のコツ
「bold(勇敢な)」は「ボールド」のように、「オウ」という二重母音をはっきりと発音します。
一方で「bald(ハゲ)」は「ボールド」と伸ばす音、または「オー」に近い発音になります。
口を丸めて「オウ」と言うのが「bold」、口を大きく開けて「オー」と言うのが「bald」と覚えておくと安心です。
スペルミスで意味が激変してしまう危険な例文
メールやSNSで書くときにも、スペルミスには細心の注意を払いましょう。
「彼は勇敢な男だ」と書くつもりで「He is a bald man.」としてしまうと、「彼はハゲた男だ」になってしまいます。
たった一文字の違いで、相手へのリスペクトが悪口に変わってしまうので、送信前に必ず確認してください。
「bold」の意味や使い方に関するよくある質問
- 褒め言葉かどうか
- ことわざの意味
- ビジネスでの使用
最後に、「bold」を使う際によくある疑問についてお答えします。
細かいニュアンスを理解して、自信を持って使えるようになりましょう。
「It was bold of you」と言われたら褒め言葉ですか?
これは完全に文脈と相手の言い方によります。笑顔で言われたなら、「思い切ったね!すごい!」という称賛です。
しかし、冷ややかな目で見られたり、ため息交じりに言われたりした場合は、「よくそんな図々しいことができたね」という皮肉です。
前後の会話や相手の表情を見て、ポジティブかネガティブかを判断する必要があります。
「Fortune favors the bold」ということわざの意味は?
直訳すると「幸運は勇敢な者に味方する」となり、日本語の「運は勇者にあり」と同じ意味のことわざです。
「行動を起こさなければ成功は掴めない」「リスクを恐れずに挑戦せよ」というポジティブなメッセージとして使われます。
座右の銘やスローガンとしても人気があり、この場合は100%良い意味で使われています。
ビジネスメールで「bold」を使っても失礼になりませんか?
ビジネスシーンでは、相手の提案や戦略を「斬新で力強い」と評価するときに使うことができます。
「That is a bold proposal.(大胆な提案ですね)」と言えば、意欲的な姿勢を評価する言葉になります。
ただし、人の性格に対して使うと「生意気」と取られるリスクもあるので、人ではなく「アイデア」や「戦略」に対して使うのが無難です。
まとめ
英語のスラング「bold」は、文脈によって「勇敢なヒーロー」にも「図々しい悪役」にもなる面白い言葉です。
基本的には「周りを気にせず行動する力強さ」を表しており、その結果が良いか悪いかで意味が変わります。
もし誰かに「You are bold!」と言われたら、まずはポジティブに「度胸があるね」と言われたと受け取っておきましょう。
「bald(ハゲ)」との発音やスペルの違いにだけ気をつけて、あなたも会話の中で大胆に(boldly)使ってみてくださいね。
